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柳家喬太郎「「怪談牡丹燈籠」 後半 横浜にぎわい座

 一昨日は7月から続く「怪談牡丹燈籠」の通し公演の後半を聴きに行きました。後半だけ聴きに来ているらしい老人客が多かったですが、後半だけ聴いて話が分かるんでしょうか。

 まずは開口一番で、喬太郎師の弟弟子のさん弥さが「もぐら泥」を。さん弥さんの、何とか面白くしようという努力は分かるんですが、好みの方向じゃないので・・・。まず普通に喋れて、算盤のしぐさが出来てから工夫してほしいです。前回の壺算でも、今回の話の冒頭でも算盤をはじくシーンがありましたが、一度も算盤をいじったこと無いのか!というほどひどいです。扇子を指で傷つけているだけにしか見えません。そんなに手を寝かせて玉なんて弾けないし!隣の玉も動いちゃうだろ!しぐさが違っているって分かってないのが痛いです。 

 続いて今夜の主役は、夏はそれ一枚ですか?と聞きたくなる様な、いつもの黒紋付の羽織にベージュの縞の薄物で登場。たくさん在庫はあるはずなのに、手入れが面倒だからでしょうか。

 まずは、前回のおさらいを極簡単に説明してくれますが、一気に喋って分かるほど単純な筋じゃないので、たぶん前回聴いていない人には人名すら覚えられないでしょうという塩梅。「皆さんに説明するというよりも、自分が整理したいから」話したんだそうで。ここでにこっと笑って話の本筋へ。

 お露と新三郎が共に亡くなって、幽霊の手引きをした伴蔵お峰の夫婦は幽霊から貰った百両を手に中仙道の栗橋宿へ逃げました。その前後、飯島平左衛門を殺し家を乗っ取ろうという計画を立てる平左衛門の妾お国と、平左衛門の隣家に住む源次郎の企みを知る平左衛門家の草履持ちの孝助は、何とか主人を助けるため、あらかじめ源次郎お国を成敗しようと闇に隠れその時を待つ。しかし、待ち伏せして槍を突き刺した相手は主人の平左衛門だった。「旦那様!旦那様!」と泣き崩れながら事情を主人に話す孝助に、平左衛門は、実は自分が孝助の敵であったこと、いずれ敵として討たれてやろうと思っていたことを話す。ここのシーンがこの公演のメインイベントの一つで、三味線が入りその節に合わせた調子で平左衛門が心情を痛みに堪えながら語ります。切々と、それでいて堂に入った語りでグッと来ました。実は喬太郎師匠は落語のいろんな要素を良く勉強しているんじゃないでしょうか。

 そして、このまま孝助に刺されたまま死んでしまうと孝助が主人殺しで捕まってしまうのを案じた平左衛門は、孝助を入り婿させようとしていた相川新五兵衛宅に孝助を逃がし、自分はお国と源次郎を討ちに行く。平素は剣の使い手である平左衛門も腹を深く刺された身、源次郎にあえなく切られ絶命してしまう。こうなっては逃げるしかない源次郎とお国も、なぜか栗橋宿へと逃げていく。

 あれから三年、栗橋宿で関口屋という荒物屋を開き繁盛している伴蔵お峰夫婦が羽振りの良い生活をしていたある日、伴蔵は笹屋という料理屋でお国という酌婦と出会い、いい仲になる。そう、栗橋宿に逃げてきたお国である。源次郎が平左衛門と切りあった時足に負った傷のせいで二人は栗橋宿で動けなくなり、お国が笹屋に奉公へ出て暮らしているのであった。

 伴蔵が家に帰ってこなくなり面白くないお峰は、事情を知る久蔵という男から事実を聞きだし怒り狂い、伴蔵に向かって、伴蔵が幽霊から金を貰い、まだ虫の息のあった新三郎を蹴殺し、墓場からお露とお米の骨を掘り出し新三郎の横に並べるという悪行をしたことを喋りだす。周りに知れたらとんでもないことになるので、伴蔵はその場は改心したように装い、次の日お峰が油断したところで殺してしまう。お峰が正直な田舎者久蔵をおだてて真実を喋らせるシーンが喬太郎師のお気に入りのシーンなのか、作り笑顔でかまをかけるお峰と、安心してべらべら喋ったり、喋っちゃいけないと分かりへどもどする久蔵のやり取りは、喬太郎師の演技力の高さによってとても臨場感がありました。その代わり、お峰を殺すシーンはずいぶんとあっさり。伴蔵が、お峰を殺す理由をはっきり言わずにさっさと殺してしまうので、伴蔵の性格が後半ではだいぶ変わっているようです。

 お峰が死んでから、関口屋では奉公人に次々とお峰が取り付き「伴蔵さん、お前さんは酷い人だねぇ」と言い出し大変なことに。医者に見せると、その医者はなんと、牡丹燈籠の前半でお露と新三郎を引き合わせたお幇間医者の山本志丈だった。何で栗橋にいるんだろう。江戸での出来事を知る志丈には隠し立てしても無駄だろうと、事情を話し志丈を仲間に引き入れる。伴蔵志丈の二人で笹屋に行くと、そこに現れたお国を見て志丈は「これは珍ですなあ。」とにやり。志丈は伴蔵に、お国と源次郎は飯島平左衛門を殺して逃げており、それを孝助が敵と追っているということをこっそり教える。

 お国と源次郎は、事情を知る志丈に顔を見られたので逃げることにし、路銀を強請に関口屋へ源次郎が現れる。なんだかすっかり大悪党の伴蔵は、たったの二両二分を渡して帰そうとする。源次郎は間男代にも五両足りない、切り餅一本よこせと脅すが、伴蔵は源次郎こそお国に間男して、飯島を殺して逃げているという事情を知っているぞと啖呵を切り源次郎をやり込めてしまう。それでも手切れ金に百両渡して源次郎は去っていく。

 伴蔵と志丈は、新三郎から掠め取った金無垢の海音如来の像を掘り出しに江戸に戻り、それを掘り出したところで伴蔵は邪魔者の志丈も殺しどこかへ逐電をするが、後に悪行がばれて捕まります。何でだ。

 敵を追う孝助はというと、相川新五兵衛家へ入り婿となり嫁は実家に残し敵を探すたびをしていた。しかしなかなか見つからず、江戸の実家へ帰ってくる。死んだ平左衛門の法要のため新番通院へ行くと、そこの和尚(新三郎にお経と観音像を渡した)に人相見の白翁堂勇斎(新三郎の後見人)に見てもらえば敵のいる場所など、明日行く道がきっと分かると勧められ、次の日会いに行き「敵のいる場所と、生き別れになった母の居場所が知りたい」と尋ねる。すると、前半と打って変わってやる気の無い白翁堂が「敵討ちは出来る出来る。しかし、後ろへ下がったらお前は死ぬ。ひょっとして、会いたがっているどちらかには、もう会ってるね。会ってる会ってる。」と謎の宣託をする。会ってるって、いつどこで?そこへ一人の老婆が人相を見てもらいに現れる。生き別れの息子に会いたいという依頼に「会えるよ。っていうか、もう会ってる会ってる。だけどね、あんたはもうすぐ死ぬよ」ここで親子が奇跡の対面を果たす。「ご都合主義じゃないよ、因縁だよ」とこっそり言う白翁堂が笑わせてくれる。

 ここでもう一つご都合主義じゃない因縁があかされる。母が孝助と別れた後後添いに入った家の二人の連れ子の一人がなんとお国で、今お国は源次郎と一緒に実家へ帰っているのだ。孝助は母に案内されその実家へ行くが、なんと母の手引きで、お国と源次郎は一足早く逃げてしまう。代わりに母が喉に懐剣を刺して死を選ぶ。連れ子といえど自分の娘を実の息子とはいえ、殺させることが出来なかったのだ。しかし死ぬ間際、わざと孝助ではなく、もう一人の連れ子に言うような形でお国の行き先を言い残す。

 母の遺言を聞き、いよいよお国源次郎に峠で追いついた孝助は、命乞いする二人を切って捨て、敵討ちを果たし江戸へ帰り、晒し首になった伴蔵を見つけすべての話を孝助が知ることになり、ここに長い因縁話が終わりを告げたのでした。 

な、ながい・・・

この後半を一時間半ほどかけて一気に語ってくれたのですが、因縁が絡み合うどろどろした話というより、広がった因縁の網を収束させるために後半があるという印象でした。ありえない偶然や、超人的パワーを利用して無理やり終わらせたという気がします。後半があまり演じられないのは、こういう物語としての完成度の低さのせいなんでしょうか。伴蔵に心の変化をもっとクローズアップするとか、お国源次郎の心情に踏み込むとか、やりようによってはいろいろ出来そうですが、時間もないし、聞くほうも大変なので、またどこかでキョンキョンで聴けるのを楽しみにすることにいたします。

開口一番 柳家さん弥   「もぐら泥」

柳家喬太郎 「怪談牡丹燈籠 後半 栗橋宿~孝助の敵討ち」

 

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コメント

「もぐら穴」というよりは「もぐら泥」ではないでしょうか・・・・・・。

 通行人様
ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。

投稿: 通行人 | 2007年8月26日 (日) 22時38分

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