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第24回東西落語研鑽会

  今日は台風にめげず鶴瓶師を見によみうりホールへ行きました。行ってみたらほぼ満席で、日本人の危機意識の低さを露呈しておりました。

 

 

 

トップバッターは関西から林家花丸さん。関西のスタンダードなのかのっけからとっても明るい。
 軽く自己紹介トークをしたあと、在原業平の 歌「千早ふる」の意味を分かっているとは思うけれどもう一度検証してみましょうと、まず本来の意味を説明してくれました。客が本当の意味を知ることによっ て、落語に出て来る物知りの言うことがいかにいい加減よく分かりより笑えるようにという配慮でございましょう。実は私も知らなかったのでございます。はは は。(改めて調べてみると、またちょっと違うようでしたが、大筋は唐紅に染まった紅葉の下を竜田川が流れる様の美しさは神代の昔から聞いたことが無いとい うような意味)

 今回出てきた知ったかぶりは、でたらめを言うことに何の躊躇も無く、途中駄洒落やオペラを入れるサービスぶり。きっと周りの人もボーっとしている のであーおもろかったですんでいるのでしょう。最後の肝「水括るとは」の「とは」の意味はどう説明するのだろう?と思っていたら、「わし、恐山でイタコの 修行をしたことがあんねん」となんと千早の霊を降ろしてきて本人に聞いてました。どこまでいい加減やねん。(笑)

 次は市馬師匠で「味噌蔵」です。主人公のけち兵衛さんは、味噌を擦った時に減るすりこぎのカスがおつけの実だと言い張るほどのしみったれですが、 市馬師が語ればそんな人も、けちぶりに苦しめられているはずの奉公人もどこか人生を楽しんでいる風で見ていてとても気持ちが良いです。それはきっと市馬師 匠自体が、落語を語ることを心から喜んでいるからでしょう。だから一つ一つのフレーズが分かっていても面白い。そして、その嬉しさがうるさい主人の目を逃 れてバカ騒ぎする喜びのエネルギーに変わってついつい歌を唄ってしまう(笑)ひばりが空高くパーッと飛んでいくような突き抜ける歌声が今日も聴けて大満足 でした。よみうりホールはとても広いので聴くほうが一生懸命でないとパワーが伝わりにくいのですが、市馬師匠の落語は抜群のリズム感と声の強弱でとーん! と耳に届いて来てとても聴きやすいです。テクニックの高さを再確認したのでありました。

 中トリは柳家小満ん師匠で「二階ぞめき」を。吉原がどういうところでどういう作りでということが現代では理解されがたいので、まずそこの説明に長 い時間を割いていました。なんとか江戸の香りが漂う噺にしたいのですね。柳家小ゑん師匠が拵えたという「秋葉原ぞめき」の方が、ともかく毎日でもひやかし たい!という若旦那の了見を理解しやすいと思いますが、今回は内容を深く掘り下げるというより江戸弁の響きが心地良い江戸の空気を感じる一席でした。この 一席を楽しむには、「浮世絵に見る江戸吉原」を見たりすると映像が浮かびやすいんじゃないでしょうか?江戸町京町仲ノ町なんて、言われたってちっとも分からないでしょ。

 以前談志師匠で聴いた時は、まるで夢の中にいる様な幻想的な吉原が会場いっぱいに広がる気がしました。、作られた無人のはずの大まがきの中に、ポ ワンと花魁が浮かび出てきて己の世界に耽溺している若旦那と出来ないはずの会話を交わす姿が目に見えるようでした。闇夜の向こうにボーっと浮かぶ夢のよう な時間だったのを覚えています。また家元のが聴きたい。

 仲入り後は久しぶりに志の輔師匠。「この後は鶴瓶師匠のネタおろしでございますが、その前にちょっと私も喋らせていただいて」とトリに軽くプレッ シャーをかける。そして、世界陸上の0.00秒を競うなんて対して違わないじゃないという話から、小噺がレースをしたらどうなるか(第一のコースは「姉さ ん粋だねえ」「あたしゃ帰りだよ」等・・・)笑いの質が違うし比べようが無い、どこが面白いかも人それぞれでぜんぜん違うというまくらを振りつつ「三方一 両損」へ。財布を拾って届けてやった左官金太郎と落とし主大工吉五郎が「書付と印行は貰っとくが俺の懐から逃げるような不実な三両はおめぇにやる!」「そ んなはした金を貰うために来たんじゃねぇ!」と落語らしい意味不明な意地の張り合いで喧嘩になり、双方の町内の大家を巻き込んで訴えて出るところまでは 「うつむいて歩いていたりするから財布を拾うような災難にあうんだ」という大家の江戸っ子?らしい台詞も心地よくトントントーンと進んで行きました。「抜 け雀」などはじっくりじっくり語るイメージですが、今回はペースがだいぶと速い。

そして「いつでも、どんなお調べでも大岡様」ということで大岡越前守が「ば~ば~ばばばばば~ばば~♬」と自らテーマソングを口ずさみながら登場で す。(笑)双方の言い分を聞いたお奉行は、まず問題の三両を引き取り自らの一両を足して二両ずつ双方に下げ渡すところまで進めた後、にんまりと満面の笑み を浮かべ「これが三方一両損じゃ、分かるか?」ととてもご満悦な様子。しかしお白州の二人にはぜんぜん意味が分からない。「分からぬか?吉五郎が持ち帰れ ば三両、金太郎が礼として受け取れば三両、奉行がこのまま貰いおけば三両になるところ、奉行が一両足して皆二両ずつになり全員一両損したから三方一両損 じゃ?分かるだろ?」嬉しそうにここまで説明されてもどうも納得できない二人。第一、何でお奉行様がわざわざ一両出して参加するのか分からん。そんなこと はお構いなしの大岡様は「良いのじゃ。わしは夕べ一晩考えたのじゃ。歴史に残るお調べになるのじゃ。」と、ともかく自分が良いと思ってるからそれで良いと 一人合点しているのでした。調べに時間がかかったので、大岡様の計らいで二人にお膳が出る。ここで吉五郎と金太郎がお奉行が悦に入っていたように「多く (大岡)は食わねぇ」「たった一膳(越前)」と嬉しそうに洒落るとここで普通は落ちになるのだけれど、今度は奉行が「今のは、何が面白いのじゃ?」でサ ゲ。まくらでの笑いの感覚の違いが語るように、吉五郎と金太郎の間でも感覚が違って分かり合えず、奉行と被告人たちの間も分かり合えないという、とても シュールな一席でした。

結構な大金になる三両をいらないと喧嘩するのも分からないし、分かったようで分からない大岡様の裁き、分かりづらい駄洒落、この落語はもともとみん なして一人合点して分かった気になってるとても変な噺だよねという志の輔師匠が疑問を提議している一席なのではと推測しました。そして、世間でも訳知り顔 で分かったような気になっているけれど実は独りよがりなんじゃないの?という問いかけではないでしょうか?私の推測も一人合点な可能盛大ですが。さすが志 の輔師匠ただの古典はやらないのです。立川流恐るべし。

 うーんと唸った後は、いよいよ今日のメインイベント鶴瓶版「死神」です。版が付くぐらいですからオリジナル色の強いものになるのでしょうか?今年 の5月に小朝師から「次は死神ね。変えちゃだめですよ。」と新たな課題を与えられ必死に拵えたんだそうです。「この会で研鑽してるのは僕だけです」(爆 笑)最近やっと噺が出来て、高座で噺を練る為に大阪の後輩がやってる小さな会へ飛び込み参加しようと、その会場を探すもなかなか見つからない。「見つから んはずですよ。その会場救急病院の二階ですよ(笑)。出来ますか?死神」

 まくらの爆笑から不意に落語へ。妻子に逃げられ仕事も無い男がやけで首つって死のうにも縄が思うようにならず、川に飛び込む浅くて「浅!痛っ!」 と死ねないところへ柳の下の美女が「あんた死なへんよ」と言ってくる。この美女が死神です。あばらが浮かんだ八十のぼろぼろの爺ばかりでなく、この世に思 いを残して死んだ人はどっちつかずになって死神の仕事に就くことになっているという。で、たまたま今回このとこのところへ派遣されたらしい。「死神死神飛 んでいけ~」パンパンと、しょーも無い呪文を教わり仕事をしくじった旦那の病を治したのを皮切りに儲けては方々の女に手を出す生活を始めます。病人の元に 座る死神を見つけると「俺の理想とする死神」というところが面白い。今回は女にだらしの無い男という設定のようでそれが後半効いてきます。

 使った金は無くなるもんで、すっかりすっからかんになって長屋に戻ると、なんと美女の死神が部屋で待っていて針仕事なんかしている。「えらい所帯 じみた死神やなぁ」(笑)で、色々話しているうちにその死神は実は男の幼馴染の「おわけ」という少女だったことが判明。たまたま男のところへ派遣されて昔 のよしみで助けたのであります。お金持ちで病気で足元に死神がいるところを教えてくれとたらしの男が甘えると、不思議とあんたに頼まれるといやとは言えんと 教えてくれる死神。そんなところへ、昔別れた奥さんが重病だという情報が入り改心した風に助けに行くと、死神は枕元にいてどうしようもない。何とか助けよ うと考えるとちょうど死神は居眠り中。しめたとばかりに布団の上下を引っくり返すと死神は飛んで行き奥さんは助かります。また親子三人で暮らそうと約束し て長屋に戻るとおわけがものすごい勢いで怒っており、魂のろうそくが無限にあるところへ男を連れて行きます。

 死ぬ予定だった奥さんのろうそくと自分のろうそくを取り替えてしまい今にも死にそうな男が助けてくれと泣いてすがるので、この男に弱いおわけは使 いかけのろうそくを渡し、火を移すことが出来たら助かると教えます。芯が濡れていてなかなかつかないが何とか移すことが出来て男は助かります。ほっとする と色々気になるもので、18歳のときで時が止まっているおわけになぜ死んだんだと問い詰めると、実は子供のときから男が好きやったけど、男は村を出て行っ てしまい父親が借金のかたに自分を売ろうとしたので、いやな男に汚されるぐらいなら死のうと自殺したという過去があることが分かります。使いかけのろうそ くは彼女ので、ろうそくが濡れていたのは彼女の涙だったのです。そんなけなげな彼女の真心を知り、元来たらしな男は「おわけ、かわいいな~かわいいな~」 とおわけに言い寄ります。逃げるおわけに「部屋が明るいから恥ずかしいんか?だったら消したるわ」と自分のろうそくを吹き消してしまいましたとさ。

最後の最後で自分の了見のせいで死んでしまうという、奇妙な噺でした。設定も意外だし、人情ありの人間の愚かさ的なものも表現されていてなかなか面白かったと思います。言い寄るところがちょっと気味悪いんですけど(笑)

 林家花丸 「千早ふる」

 柳亭市馬 「味噌蔵」

 柳家小満ん 「二階ぞめき」

 仲入り

 立川志の輔 「三方一両損」

 笑福亭鶴瓶 鶴瓶版「死神」

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Stage 07-14 07/09/06 第24回東西落語研鑽会 よみうりホール 花丸 「千早ふる」 市馬 「味噌蔵」 小満ん「二階ぞめき」 (仲入り) 志の輔「三方一両損」 鶴瓶 「鶴瓶版死神」 評価は(★10個で満点) ★★★★★ ★ 一行批評 「今回は,鶴瓶師匠のネタおろしを見に,『同窓会』感覚で鑑賞。鶴瓶師匠は,何となく物足りない感じもするが,何回か練れば自分のものとなるでしょう。志の輔師... [続きを読む]

受信: 2007年9月29日 (土) 17時23分

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