談春七夜アンコール 東雲 横浜にぎわい座
今回は談春七夜アンコールの最終回を見に行きました。先日絶品だった「芝浜」がまたここで見られるので、楽しみながら、凄くいい時の後はあんまり良くないことがあることがあるのをちょっと心配していました。
開口一番 立川春太 「子ほめ」
立川談春 「三方一両損」
仲入り
立川談春 「芝浜」
今日の前座は春太くん。私は高座を見るのは二回目です。子ほめをリズムよく正確に教え通りやっていましたが、こはるちゃんに比べて余裕があるのか、同じ台詞でもちゃんと兄弟子との違いが出ていました。造作が良くってちゃんとしているので近く人気が出ることでしょう。
談春師の一席目は、関東学院大学の大麻事件に引っ掛けて家元のエピソードを披露したらわりと反応が薄いのでさっさと始めた「三方一両損」。そうみえたけれど、子ほめもしっかり時間を使ったし、後半の芝浜に余裕を持たせるために端折ったのでしょう。ちなみに去年の東雲はバカみたいに面白かった「粗忽の使者」でした。
三方一両損を談春師は結構方々でやっているので何回か見たことがありますが、毎回吉公と金太郎の会話が可笑しい。最近はそこに大屋の面白さが加わって、実に気持ちいい江戸っ子スケッチになってきています。吉公はちょっと反身の粋がりで、金太郎は多少のんびりした良い奴だけれど、やっぱり江戸っ子の意地は強いという、キャラクターの語りわけもしっかりしていて、それが会話に奥行きを出していて巧い。そこに今回は吉公、金太郎双方の長屋の大家がそれぞれまた楽しくなる江戸っ子達で、喧嘩を止めるどころかわくわく観戦していたり、若い頃は弁当をぶる下げて喧嘩を探して江戸住歩いていたと自慢したり、金太郎が、喧嘩の相手は大工だと大家に報告すると「大工かぁ?生意気だなぁ」「お前は左官だろ?左官と大工は昔から仲が悪い」とめちゃくちゃな論理を振りかざす(笑)「調子に乗って思いつきでなんか言わないほうがいいよ?」と自分に突っ込む台詞が笑えます。吉公の大家が訴えて出るといっているのに、金太郎の大家まで「自分の可愛い店子が喧嘩を売られて、俺の顔は誰が立ててくれるんだ!」とごり押しの論理でこちらからも訴えて出ることに。大家さん、あんたも好きねぇ。
こんなくだらない訴えを取り上げるわけが無く、吟味中の与力たちがくだらないとはじくところを、たまたま大岡様が通りかかって喜んで審議することに。立川流では、こんなどーでもいい審議をする大岡様はどこかおかしい筈だという解釈ですね(笑)
職人からお奉行様までどこかおかしいけど気持ちの良い江戸っ子だったというのが、聴いた後の印象でした。
二席目は基本的には大宮と同じ。しかし聞いた後の印象はよりしっとり落ち着いたという感じでしょうか。大宮でのときは湧き上がる高揚感というものを感じましたが、それは多少減っています。あの時と今では師匠のコンディションはもう違うのだし、落語というのはいつも一期一会ですからそれは気になりませんでした。
途中もちょいちょい細かいところが、言ったり言わなかったり変更がありましたが、内容を補足する台詞がいくつか増えていたような気がします。一番変わったのが最後。いよいよ酒を口につける時、「これを飲んだらまたいつもの飲んだくれに戻ったりしてな」「いいよ戻ったって。もう私一人でこの店を大きくするから」「調子にのるんじゃねーぞこのやろう」と楽しい軽口を叩いてから「いいのか、おい。俺はお前に甘えるよ?お前が止めろっていえばすぐ止められるぜ?いいのかい?」とドキドキしながら飲もうとした動きを止めて意を決したようにはっきりと「止めた!」と宣言して「また夢になるといけないからな」これは、よそうと言う台詞よりより強い、決心、吹っ切った気持ちが表れていてとても良かったです。これは本当に今までの良い事悪いことを全て忘れて新たな日々が始まる「東雲」のような終わり方でした。(シャブ浜でも夢にはしちゃいけないって強く決意してましたね。)
来年は、師匠はお客さんが「びっくりして座りしょんべんして馬鹿になっちゃう」様な企画を考えているそうです。 談志を継ぐとか?でもにぎわい座は特別なところだからまた違うことをやるんだそうです。初めて家元と二人会したところだしなあ。
談春師がにぎわい座に出るのは今日が最後。無事アンコール公演もすべて終わって来年のますますの飛躍を願って三本〆でごきげんよう。
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