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春談春 三鷹星のホール

 

先日は三鷹の春談春を見に行きました。今年一年春、夏、秋、冬の四回、三鷹に登場するそうです。にぎわい座でも、まず四回やって好評だったから毎月出るという風になったのでここでもそうやって増えていくのでしょうか。独演会をやりすぎるとインフレを起すというのは志らくさんが証明しているので、どうなんだろう。

 立川こはる 手紙無筆

 立川談春  天災

 中入り

 立川談春  大工調べ

  ここでも赤めだかサイン会を開き好調なのか、にこやかに登場。
今回のまくらは、開口一番で「手紙無筆」をやったことを受けて、昨今誰でもやる
メールやネットというもをほとんどやらない、出来ないという話から。
若いときは手紙無筆なんてつまんねぇ噺だなーと思っていたけれど、今は皆パソコンが出来るのに自分だけ出来ない状況は手紙無筆と同じようなものだとげらげら笑っちゃったという。
「でもね、クリックは早いですよ」(笑)
自分に関しての記事やブログは読みまくってチェックしているというイメージだったので、
それなりにやっているのかと思ったら意外にも折り目正しく電話や手紙で生きているのですね。
ってか、今まで散々見てるぞやってるぞという姿勢を見せていたのは、あれは変なことを書かせないように仕掛けたブラフってやつですか?でもそれじゃ、喬太郎師匠とメールアドレスの交換が出来ないじゃないですか。
 関西の大物落語家らと打ち上げ会場に行く車の中で、普通なら若手芸人が面白いことを言ったりして場を盛り上げるものなのに、皆黙って携帯でメールを打ち始めたという話がおかしかった。
「落語家としておかしいでしょ?」(笑) 確かにおっしゃるとおりです。落語家の持つものは
手ぬぐいと扇子だけでいてほしいです。(笑)
 最近、ブログってのはちょっと分かってきたけれどMIXIてのがよく分からないという。
どんなもんかと見てみて、自分を検索するとズラーッと出てくる。そして、誰かが書いた記事に対して、落語家がそれに返事を書いてるんですよ!!キョヌとか言う名前で!(爆笑)
俺もやろうかな、ハルとか名前を付けて。
談春師匠は、キョヌさん以外にも立川流の多くの落語家が返事を書き交流していることも
ご存知なのだろうか。
 
 最近、志ん朝師匠のDVDばっかり見ているという話へうつり、志ん朝師匠の落語の影響か芝浜のおかみさんがどうのとかいう理屈が嫌になったという。(笑)だから、今日は何も考えず江戸っ子の噺をやりますとのこと。ここから談春師匠が感じた志ん朝論へ。志ん朝師匠の芸は、本人のフラで落語の多くの部分を処理している。談志は理屈がはっきりしているから、それのどれかの部分を持ってきてそれを広げるということが出来るけれど、
志ん朝師匠の真似をしようとするととんでもないことになる。
文楽、小さんというのは落語の系譜がはっきりしている、小三治や談志を見ていると、ああ小さんの芸だなというのが分かるけれど、それとちがって志ん生はいろんな芸を片っ端から吸収して(型がないということ)、その上澄みを集めたのが志ん朝なんですから、形がないんですから志ん朝師匠のお弟子さんは大変だなーと思う。

 分からない人にはさっぱりな話ですからもうこれで止めますと、芸談が佳境で終わってしまって残念。
友達がいないもんですから、こういう話が出来る人がいない、三三を友達にしようと思ったけれど彼は今忙しいようで、市馬兄さんは10分も話していると鼻歌を歌いだしちゃうんですよ(笑)

 楽しい話で盛り上がったその雰囲気でまずは江戸っ子の乱暴な理論が楽しい「天災」へ。
志ん朝風で見れば、志ん朝師匠の独特のフラでもって全編うきうきするリズムとメロディで
歌い上げる人間賛歌として聴いていればいいのですが、立川流とすれば、やはり人物像を
どう作り上げるかが大事になってくる。この二つの要素を談春フィルターを通して見事
に融合させた一席というのが今日の落語でした。

 志ん朝の絵になるしぐさを念頭に入れたのか、割と大きめに体を使いダイナミックさを出しながら、声の強弱やテンポを丁寧に演じつつ実にコミカル。そしてどこまでも明るい。このリズムとテンポだけでトントーンと聞かせているように見せて、紅羅坊名丸とのやり取りになると談志一流の理屈が顔を出し、八五郎と名丸のやり取りがさらにエキサイティングになる。
「喧嘩はお好きか?なぜ喧嘩をなさる?」という名丸の問いに「喧嘩はしなきゃいけねぇんだ。自分外野だってことを言わないでずっと溜め込んで爆発させるより、嫌なものはいやだといって喧嘩したほうがいいんだ!」という理屈で対抗する八五郎。この勢いに気おされた先生は「喧嘩しちゃ駄目!」(笑)八五郎に「なんだ駄目ーって。このやろー、あせってやな、意外な攻撃に」
 小僧が粗相で水をかければその店へねじ込み、かわらが落ちてくればそのうちへ理屈を付けてねじ込むと、まったく反省のそぶりを見せない八五郎に、通常の先生は「あなたは大変な愚者だ」とつい罵倒言葉を吐きますが、談春版では冒頭から名丸先生の勢いをくじく八五郎におたおたして愚者だとかえらそうに言っている暇がないのがおかしかったです。

 中入りをはさんで二席目は、江戸っ子といえばこれ!志ん朝といえばこれ!という噺で、冒頭に江戸っ子の噺をやると聞いたときからもしかしてと期待していました。久々に当たって嬉しい。

 この噺も天災同様、立川流というか、談春ならではの細かい仕込みや人物造形がちゃんとあったうえで、この落語が持つメロディ、リズムが気持ちよく流れていくすばらしい一席でした。この局のメインはやはり啖呵で、そこの心地よさは私が談春版を聞いた中ではぴか一でした。理屈では大家が正しいという談志からの流れに沿いながら、正しいのに何で喧嘩になるのかというと、職人の口の悪さに付け込んで懐の狭さを露呈させてしまう大家の性格の悪さ、その性格ゆえに以前から政五郎は大家が嫌いだったからなんだということが、すごく自然によく分かりました。
 
 ボーっとしているうちに店賃を溜め大家に道具箱を取られてしまった与太郎に、棟梁の政五郎が入れ知恵をして道具箱を取り返そうとす場面で、二人で行かず与太郎だけで大家のところへ行かせようとする。なぜかは「俺はあいつが前から嫌れぇなんだよ。」だから。そして、何で嫌いなのかは後の大家とのやり取りでちゃんと明らかになるようになっているのに感動しました。
 そしてもう一つの面白い要素が与太郎。棟梁と大家に挟まれておたおたするのではなく、冷静に状況が分かっていながら、面白そうだから参加しちゃうというお茶目な奴として描かれています。大家のところで「あたぼうだ」とか「御の字」だとか楽屋話を喋っちゃって大家を怒らせてしまったのに「これからどうなっちゃうんだろう?わくわくするなあ」(笑)
案の定棟梁と大家の話し合いも決裂し喧嘩になり道具箱が帰ってこなさそうだと見ると「棟梁、俺しばらく休むわ」とあっさりと手を引く潔さ。与太郎こそが江戸っ子か(笑)
 棟梁の怒りは収まらず胸のすく啖呵を切った後、与太郎にも「お前もなんか言ってやれ!」とせっつくが、「いいよ、棟梁帰ろう」(笑)でも言ったほうが面白そうだから
「なんていうの?」
「ポンポーンと言ってやれってんだよ!」
「ポンポーン!」
この与太郎のポンポーンのタイミングが絶妙で爆笑。

 二つともとても充実した高座で大満足の一日でした。

 三鷹の世話人はとても押しが強い方だそうなので、豪華な顔ぶれの会をぜひ企画して実現してほしいな。まあ、身入れが少なくて嫌だろうけど。 

 

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コメント

談春さんのマクラは赤めだかの内容と同様で
「本当の事しゃべったって面白くねーだろ」
というスタンスだと思います。
客席も「ハルさんはせんみつだ。信じちゃいけないよ」と思いながら聞くしかないですね(苦笑)

 こんにちは!
そのとおりだと思います。ちゃらまんさんほらまんさんですね笑
ボソッと「こういうところだけ伝わってまた(志らくが)怒るんだろうけど」とつぶやいたのが印象深かったです。

投稿 mogu | 2008年5月28日 (水) 11時58分

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