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大銀座落語祭2008 桃月庵白酒独演会

 

昨日は大銀座落語際の初日でございまして、せっかくだから普段から見たい見たいと思っていた人をということで、桃月庵白酒の会へ行って来ました。「落語界は俺たちに任せろ!」というスローガンのカテゴリーな割りには、小さいアングラな会場でした。落語を聴くには悪くはないところでしたが。

開口一番 桂笑生  子ほめ

桃月庵白酒    鰻の幇間

中入り

古今亭志ん公   錦の袈裟

桃月庵白酒    寝床

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 まずは開口一番 前座さんが出るかと思いきや、羽織を着た人が出てきました。「こちらめくりが・・・ございませんが」とめくりもなし。大銀座お得意の不手際か?

 落語はあっさりと子ほめでした。開口一番だから子ほめという軽いネタを選んだは良いけれど、普段ほとんどやってない?という高座でした。まったく落語初めてと思われる人が子ほめの王道ギャグでちょっとクスッと笑う以外は一切反応がない高座というのは疲れるのう。

 笑生さんが自ら高座返しをして変わって出てきたのが、淡いピンクの着物が良く似合う白酒師匠。以前見たときよりさらに全体的に球体になっていました。着物の幅がさすがに微妙に合ってないよ。本来なら前座の春風亭ぽっぽが出るはずだったのだけれど、「ぽっぽ間に合わず」という連絡を受け、じゃあ前座なしで良いかーと思っていたら、手伝いで来ていた笑生さんの着物の用意があるというアピールがあって急遽上がってもらったということを説明してくれました。「ぽっぽファンの皆さんごめんなさい」だって。確かにぽっぽちゃんは可愛い。キミも小朝の天使の一人?

 北海道の牧場での寄席に出た話などをしながら、落語では100パーセントを目指しても早々上手くいかないが、幇間は大勢のお客を完璧に喜ばせなければいけないという振りがあって「鰻の幇間」へ。ここでまくらの段階で羽織を脱いじゃったことに気づき「羽織はぬいじゃいけないんだった」

 幇間が客からご馳走してもらおうとするときに、客の家に行くのが「穴釣り」で往来で見込んだ客におごってもらうのを「丘釣り」という説明があって、一八が穴釣りに失敗するシーンがありました。私はこのシーンは初めてです。懐に手土産の羊羹を忍ばせ客の家に行くもみんな湯治に出かけて留守、一八が目当てがいないんじゃ用はないと懐から出した羊羹を仕舞って家から出ようとすると「その懐に仕舞ったもんはなんだい?ねえ?なんだい?」と家の人にしつこく追及され「雑魚ほど食いつきが早えぇや」とはき捨てるのがおかしい。

 「丘釣り」に切り替えようと、一八が汗を拭き吹き往来を歩いていると、浴衣姿の男がニコニコ笑って一八を見てる。心当たりはないが調子を合わせて適当に当たりを付けてみると、なんと鰻を食いに行こうという誘いが。もちろん一八は慶んでついて行く。しかし着いた店は一八といえど言葉が詰まってしまうぼろ家。「おもむ・・きもあるけど傾きもある」というのがせいぜい。店に入ると陰気なばあさんが次々と「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」。店も傾いてるし仲居の背中も傾いている。鰻屋とは粋でおつな場所でなくちゃいけないのに、そういうところが一切無いということを、仲居の「いらっしゃいませ」の一言で見事表現してしまう落語表現力の高さに「天晴れ!」と声をかけたくなる。

 後半旦那に騙されたと分かってからの一八の怒りながら店にけちをつけるところも大爆笑。徳利とお猪口のもようが西遊記の揃いで、お新香が漬物じゃなくてザーサイで「こんなどう見ても中国を意識した揃いじゃ、鰻だってどうしても疑いたくなるでしょ!」(笑)

 志ん朝師匠?がやはり意識されているのでしょうか、実に心地良いリズムを堪能しました。なにげに、仲居の気の抜けた演技がツボです。たぶんあの気の抜けっぷりがさらに一八の怒りを増幅しさせてるんだろうなあという絶妙さでした。ちょっとしか出てこないんですが、そういうところに上手さが光るんですね。

 中入り後はゲストの志ん公さん。錦の袈裟でした。こんなに気持ち的に長く感じた錦の袈裟も珍しい。やはり客はほとんど無反応でした。

 トリは黒い暗幕に囲まれた小屋に映えるように白い着物で登場。今回の会に出演するにあたって、ゲストは出演者自身で決めてくださいと連絡を受けたのが午後8時。期限は次の日の午前中まで(笑)。その時点で電話で頼める人しかいないということになって、まず「アサダ二世」先生に電話。あの人は家にいるくせに留守電になっていて、電話した人が留守電に声を入れると電話に出るという不思議な人。早速電話すると「7月は釣り月間だから仕事は入れないことにしてるの。覚えておいてね」と断られた。(笑)そして次にかけれたのが志ん公さんだったんだそう。あまりにゲストが不発だったから弁明をしているように聞こえました。(苦笑)

 今度は、地方寄席に呼ばれると打ち上げメインの会だったりして大変な思いをするというまくらから「寝床」へ。

 冒頭の旦那が義太夫の練習をしているところからもう爆笑。声が酷すぎてもう笑うしかない。どう見ても義太夫の発声じゃないし。義太夫の会があると町内に知らせに行っていた繁蔵が戻ってくるととっても嬉しそうに「どうだった?」と聞く旦那。その時点でとても笑顔が可愛い。この笑顔が、町内者が次々来ないと知れるうちにどんどん呆けた顔に変わっていく様がなんともおかしい。繁蔵の報告を聞きながらも発声練習は怠らないのだが、来る人が減っていくに連れて声が小さく、へろへろになっていくのもばかばかしくて良い。変わって繁蔵も、町内を回ってくれば役目は終わりと思っていたのに旦那に「どうだった?みんな来るのか?」と一番言いたくない事を聞かれ「え?あっ・・・・な・・なんでございます?」と腰を浮かせて目が泳ぐほどうろたえてしまう。このうろたえるタイミングが抜群。町内の者も、店のものも誰も来ず、自分の義太夫を誰も聞きたくないんだと分かってしまった旦那が「そうですよ!私の義太夫は下手ですよ!」というと「やっと分かっていただけましたか」(笑)

 店立てだ、暇を出すーと旦那が予想以上に拗ねてしまったので長屋の連中も諦めて義太夫を聞きに来た。しかし、店立てが怖いから来ただけだと旦那はまだ怒ってる。「ちょうちんやはいそがいんだろ?!え?職人を雇った?あのしわいやが?」「豆腐屋は二人も雇ったの?ふーん。」この時点で機嫌が直ってきたがまだ駄目。「吉田の息子はあれだ 教員の採用試験だったんだろ?」すかさず繁蔵が「お察しの通り、不採用になりました」(笑)だいぶ機嫌も直って「私も大人気なかった。店立ては無しにしましょう」「しかしもう心が折れてしまったから、義太夫は語りません」というが、本当は義太夫を語りたくて仕方がない。それなのに繁蔵は「それでは、店立てはなし、義太夫も無しということで町内を回ってまいります」ととっとと行こうとする。旦那は「そこをなんとか」と一押ししてもらいたいのに繁蔵はその意をわざと汲もうとしない。(笑)何度も同じやり取りがあっていよいよ業を煮やした旦那が「お前もうすうす分かってるんだろ?」(笑)

 いよいよ恐怖の義太夫の会が始まります。昔ここの一番番頭が一人で義太夫を聴かされて、蔵に逃げ込んだのにその蔵に義太夫を流し込まれ狂ってしまったのか「白いワニが来る」という謎の言葉を残して消えてしまったといういわく付きだからもう大変。みんな頭を低く伏せて義太夫から体を守っているのに、一人俺は端に座っているから大丈夫だと体を上げていた男がいて、見事「流れ義太夫」が胸に命中して倒れてしまったりして。(笑)

 白酒さん以外の人は語るべきものが何もなかった会ですが、だからこそ白酒師の実力の高さが際立った一夜でした。 

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