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大銀座落語祭2008 NHK「ちりとてちん」出演者によるらくご会

 

最後の落語祭の最後に見た落語会がこれです。吉朝師匠の話を聞けるからいいね。

フリートーク 桂吉弥 松尾貴史 桂よね吉

桂よね吉  遊山船

松尾貴史  青菜

桂吉弥   短命
 

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どう見てもテレビ媒体で好きになった女性客ばかりの会場で、まずは場内では携帯を切ってくれというアナウンスが流れたのですが、声からするとプロなのになぜかかみまくり。そのかみっぷりに場内大爆笑。それほど受けることか?テレビ的なのね・・・。

 まずは三人で挨拶代わりのフリートークを。吉弥さんはお客がやはりちりとてちん目当てだということから、NHKがDVDの好調を受けてメモリアルブックは出すは、外伝は放映するは、総集編のDVDも売るはという話を展開。それに本当はあまり興味がないんだろうけどやわらかく受けるキッチュ、首は振ってるけど聞いてなさそうなよね吉さんの対応が面白い。あまりに絡んでこないので吉弥兄さんが「吉野家のアルバイトから来たんか?」と突然弟に突っ込み。よく見ると確かに吉野家のユニフォーム色のポロシャツを着てなはる。フリーなトークは本当に苦手そうだよね。
 わたしはちりとてちんについてほとんど思い入れがないのでNHKの話はどうでもよくて、キッチュが吉朝との出会いについてのエピソードのほうがずっとよかった。小米朝に米朝宅へ連れて行かれ、そこで酒盛りになったとき米朝の横に座っていた四角い顔の男が吉朝さんだった。突然吉朝さんが「わし、迷惑してんねん」「なんでですか?」「地方に行くと物まねしてー言われんねん」(笑)キッチュとキッチョウで名前が似てるので、大島渚のまねをしてくれとか言われるらしい。
 吉朝とキッチュでその昔メルトダウン落語会というものを開いたという話も素敵だ。中島らもが書いた落語をやる予定だったけど、原稿用紙50枚分の落語を吉朝さんに手渡されたのが開演二日前。さすがの吉朝といえど二日では覚えられず落語の途中で「すいません、やっぱり覚えられませんでした。ということでこれからはリクエスト落語会です」(笑)。よね吉さんは「師匠が落語を途中で止めるのを初めて聞いた」と楽しそうに話していました。二人とももう死んでしもうて・・・。キッチュには長生きしてもらって長く二人のエピソードを語ってもらいたいものです。
  最後に、談志師匠が某知事に目黒駅に呼び出され、怪しげな占い師に喉が治る祈祷をしてもらったという噂を本人から聞いたという楽しい話でトーク終了。客の大半には分からん話だっただろうが、やはりキッチュを聞きにきてよかった。

 予定より延びたようで早速落語開始。墨染めの麻の着物がかっこいいよね吉さんがトップバッター。「トーク苦手なんですわ。まくらで喋ろうと色々仕込むでしょ?でも早く喋りたいじゃないですか!そのせめぎあいが無口な僕を生んだんです」(笑)
 ちりとてちんは、裏を知る芸人としてはこれはおかしいぞというところがちょいちょいあるというまくらから、国宝の「大阪のひばりはちゅんちゅん鳴くんじゃ言うとけ!」発言等々色々明るく話してから大阪の夏の話「遊山船」へ。
 大阪っ子の癖に恐ろしく何も知らない喜六と相方清八が、大川の橋の欄干から夕涼みをしている屋形船に対してごちゃごちゃーごちゃごちゃーいうだけの話。それだけだからこそ、情景の描写と、二人の掛け合いが楽しくなければ聴いていられない。すとーりーに頼れない分、落語家の技量を問われる難しい話なんじゃないかと感じながら見ていました。
 
 扇子で仰ぎながら大川まで夕涼みに来た二人、冒頭から喜六はボケまくり。橋の上は花火が綺麗で昼のよう、橋の下も昼のようやでと清八が言うのに喜六の奴は「目の前は真っ暗やで」「欄干にうっつぶしてるからやないか!」(笑)その後も屋形船を見ると家が上流から流れてきたと思うし、芸者も舞妓も幇間も知らん、なーんも知らんおばかキャラ。たとえて言うなら、クイズヘキサゴンのおばかな奴らと新助のやり取りのようなもん。しかし、喜六は色々教わるのが楽しくてたまらないという風情なので、教える清八も嫌にならないのだろうなあという良い関係が感じられて実に楽しいのだ。芸者は「芸衆(げーしゅー)」と言うと粋だと教わると、舞妓は「まーしゅー」仲居は「なーしゅー」板場は「いーしゅー」と勝手に名づけて嬉しそうに何度も言っているところがおかしい。しかし、本当に客のことをそのままいうともっちゃりするから「きゃー」って言うんですか?もちろん花火が上がるところ、やかましい舟が流れてくるところ、出店が出ているところでにぎやかなお囃子も付いて実ににぎやかで涼しげな良い高座でした。
 私は吉朝師匠の遊山船は見れなかったのですが、よね吉さんのを見ていると、ぼそっとつぶやくギャグの中に吉朝師匠の匂いがするような感じがしました。とて も細部に師匠の匂いを残しつつ、よね吉さんらしい若々しい色気と勢いを前面に出して、下手な人がやったらすぐ飽きそうなこの噺を最後までぐいぐい聴かせて くれました。吉朝師匠がこの話のどこを愛していたかということをしっかり継承しながら、よりコミカルに、よりアグレッシブに語っていたという印象です。で もしっかり稽古もしているようで、危なっかしいところはまったくありませんでした。
 
 次はキッチュこと松尾貴史さんの高座。出囃子はなんと「一丁上がり」です。素人さんだからできる遊びですね。楽屋が騒然としているのに、客席は誰一人分かってなかったのが悲しいですね。
 キッチュがデビュー当時、なぜか露の五郎事務所にスカウトされ所属していた時、事務所にいるとよく露の五郎師匠とお昼をご一緒したらしい。「ロイヤルホストがいいね」と露の五郎師匠の物まねで言うのでつい笑ってしまう。それから春団治師匠、文枝師匠、米朝師匠、松鶴師匠の物まねを次々披露してくれて、私は嬉しかった。デフォルメしているから師匠連を知らなくても楽しめますが、知っていればもっと面白かったのに。(あの女性客連に告ぐ)
 落語は何をともったら、これも夏の話「青菜」でした。落語が大好きな上に器用な人ですから、下手な落語家よりずっと面白い青菜でございました。

 そしてトリは女性客のお待ちかね吉弥さん。草原兄さんとしか呼ばれないというちりとてちんバブルに沸いている日常を話しながら、落語は「短命」
 全体的に平均的なんですねえ。悪くないけど決め手にかけてしまうのはなぜなんだろう。前の二人に比べて感想が少なくてごめんなさい。人物造形にもう少し独自性がほしいのです。

 なんにしても楽しい会でした。私も遊山船を見てうじゃうじゃ言うてみたいわい。

 

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