市馬 談春 国立演芸場
昨日は市馬兄さん大好きの会へ行って来ました。最近夏風邪に苦しんでいたらしい談春師匠ですが、今回は大丈夫だったようです。しかし顔は微妙にむくんでいた気がしますが。
開口一番 立川春太 十徳
立川談春 替り目
柳亭市馬 宿屋の仇討ち
中入り
柳亭市馬 かぼちゃ屋
立川談春 鈴が森 白井権八
春太さんは草刈正雄に似ていると思ってみていたらいつの間にか落語が終わっていた。
一席目は談春師匠から。この会は、師匠にとって都会で疲れた心を故郷で癒すような会なんだそうです。市馬兄さんと会えると思うと前の晩から眠れないというほどのラブコール。しかし、柳家の至宝に立川流が近づく事を快く思わない市馬ファンを意識した台詞も何度か飛び出し、高座から見る客席はだいぶまだら模様なのだなあと思いました。確かに師匠は人が寄り付かなさそうな雰囲気を漂わせつつ実はぜんぜん違う態度も見せたりして、お前どっちだよ!と思っている客もいることでしょう。
三人集についても触れました。前に良いのをやりすぎたので次の良い企画が浮かばないらしい。「ゲストでも呼びましょうか、正蔵師匠とかどうですか?」と師匠が客に振るとお客はまったく無反応(笑)「あ、そうですかわかりました」とさっさと取り下げるのが笑いました。
さて今回は久しぶりの替り目。市馬師匠がいると噺に入れない(笑)そうで色々トークしていて時間が押したのか車屋とのやり取りはカットして、酔って気持ちよく歌を唄いながら家に帰ってくるというスタート。「えぇぇぇ~♪。比べられないように今のうちに唄っとこう」(笑)防人の歌なんぞを唄いながら帰ってくる旦那。嫌な酔っ払いだ。(笑)談春師匠の替り目ほどラブラブな夫婦はいないと思いますが、今日は特に奥さんが調子に乗っていました。(笑)奥さんが旦那を心配して「早くお寝なさい」と言っているのに「なーに?」とまるでマギー審司みたいに耳にてをあてて聞こえないふりおする旦那。今晩も奥さんといちゃつかないと眠れないらしい。(笑)一本だけとねだってお調子をもって来てもらうがつまみが無い。「俺はいいけどお膳が寂しがるだろ!」(笑)つまみがほしいとねだっても今度は奥さんが「なーに?」(笑)こらえきれず大声で「つまみ出せ!」怒鳴るとすかさず「お前さんを?」これには旦那も「腕を上げたね」(笑)「でも今俺がほしいのは笑いじゃない」(笑) 家の食べ物は奥さんがすでに食べちゃってないと言う。「食べちゃった!」と憎たらしい口を利くので旦那が、「食べちゃったーー!って口を横に食いしばるからたー!ってなるんでしょ?口を縦にしなさい。そうすれば、いただきましたってなるだろ。」それからは奥さんは何でも口をつぼめて「いただきましたー」でもその言い方が旦那を馬鹿にしてて面白い。おちょぼ口わざとを旦那に近づけて「いただきましたー」とかやって「近づくな!」(笑)完全に旦那をからかってますね。良い夫婦ですね。
今日は対決する会ではないので、ギスギスした鋭い談春は封印して、寄席芸人の一人になると言っていた通り、軽くて面白くて程が良い替り目でした。
続いて市馬師匠。談春師匠が市馬兄さんを立川流に引き抜きたいと発言していたのを受けて「喜んで引き抜かれたい」(笑)「あちらは歌舞伎座でやってすごいですな。私も出たいと思うんですが、もっとも私が出るときにはスタンドマイクがいりますが。(笑)」
おおらかに始めた噺は「宿屋の仇討ち」です。「エー、お泊りではございませんかな。大黒屋はこちらでございます。エー、お泊りではございませんか」師匠は本当に素敵な伸びのある美声ですから、宿の客引きだけでも芸になる。こんな美声が飛び交う宿場があったらぜひ行きたい。関西見物帰りの始終三人のやかましい江戸者が大黒屋に泊まり早速芸者を呼んでドンちゃん騒ぎ。袖からはお囃子もにぎやかに鳴ってなぜか芸者は「山はー死にますかー♪」(笑)こうなると出てくるのはお得意の相撲甚句で、イヤー、良いですねえ。演者も客も喜んでいるのですが、気に入らないのは隣の侍(笑)ここから三人の災難が始まるのでした。しぐさはすっとして綺麗だし、声は通るし出てくる人は気持ちのいい人ばかり。すっかり癒されました。天分の才能プラス人に好かれるおおらかさを兼ね備え、きっちり正攻法でも古臭さを感じさせず、でも懐かしい香りがする、まことに得がたい落語家なのでした。志らく師匠も談春師匠もあこがれるはずです。
いい滑り出しの前半に続いて、後半は市馬師匠から登場。「普通、落語はラストに向かってピークを持っていくものだけれど、兄さんはそうでないのがおかしい」と楽屋にいる人に言われたそうです。(笑)続きまして市馬師匠がまだ二つ目だったころ、会の主催者に頼まれて市馬師匠の前にあがって落語をした前座の談春を見たのが初対面だったという思い出話を。「談志師匠にそっくりでねぇ。この先どうするのかしらと思いましたよ」(笑)
二席目は軽い噺ですが、柳家にとっては決して軽くない「かぼちゃ屋」市馬師匠の与太郎は、本当に「図体ばっかりでかくなりやがって」という台詞そのまんまの与太郎。(笑)そしてどことなく小三治師匠のかぼちゃ屋に似ていました。何ということのなく淡々と話は進むんですがその全てがおかしい、THE!落語!というかぼちゃ屋でした。かぼちゃが全部売れちゃって、お金を財布に戻しながら「いっぱい儲かっちゃった。これで秋談春行こう」(笑)
いよいよトリの一席は、まくらをふらず「鈴が森」へ入りました。講談から持ってきた話なので(泥棒噺の鈴が森とは違います)語りのかっこよさが身上です。そのカタルシスを存分に見せてくれた納得の一席でした。この格好良さは家元を除いて今談春師匠が随一でしょうね。
最後は市馬師匠を舞台に呼んで二人でトーク。というより談春師匠が市馬師匠に色々言いたいことをいうという形。以前、円楽師匠に談志家元が色々話しかける姿を「シェパードにスピッツがキャンキャン吠えている様だ」と志らく師匠が喩えていましたが、これがまさにそういう形。(笑)そして、なぜか二人の間に座布団が敷かれていてそれは三三師匠の席だったのでした。途中から私服姿の三三師匠が登場。「落語はラストにピークを・・・と言うのをまるで私が話したようになっていましたけども、話したのはこいつです」三三師匠が私ですと手を上げてました。(笑)元から顔が小さい上に少し遠慮して後ろに下がって座るものだから、三三師匠を挟んだ二人の顔の大きさが恐ろしく強調されていました。(笑)それが分かっている談春師匠は「三三!もっと前に座れ!俺たちの顔の大きさが目立っちゃうだろ!」(笑)さらに王楽さんも登場して、「ソデで拝見して思ったんですけどいやー、皆さん稽古してらっしゃるんですね」と爆弾発言をして三三師匠に座布団ではたかれて終わりました。その洒落は言って様になる人とそうならない人がいるのですが、王楽さんは明らかに後者でしょ。
エンディングは、楽屋にいた芸人も全員舞台へ上がり市馬師匠の歌で締めくくられました。 良い落語が聴けたし良い雰囲気で終われて満足でした。
※過去の私の記事を読んでみたら、初回の会のエンディングでも三三、王楽の二人が来てたんですね。すっかり忘れてた・・・。
| 固定リンク
「立川談春」カテゴリの記事
- 立川談春独演会 横浜にぎわい座(2009.07.10)
- 立川談春独演会 横浜にぎわい座 作成中(2009.05.03)
- J亭 立川談笑独演会 春 2回目 JTアートホール (2009.05.11)
- 立川談春 「ひとり寄席」 下北沢演芸祭 完成(2009.03.17)
- 県民ホール寄席 立川談春独演会 神奈川県民ホール 作成中(2009.03.23)



コメント