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柳家喬太郎独演会 カマ手本忠臣蔵スペシャル 三鷹星のホール

 

土曜日は喬太郎師匠を見に行きました。「文七元結」を期待してたのですが・・・。

柳家喬の字  「狸の札」

柳家喬太郎  「按摩の炬燵」

桃月庵白酒  「四段目」

仲入り

柳家喬太郎  「カマ手本忠臣蔵」

 

文七をやってくれ!!とそればかり願ってまずは喬の字さん。

 さん喬師匠の一門は、喬太郎師匠以外は皆おんなじテンポ。しかも緩急をつけずに名人の晩年のテンポをやろうとしているので、ただただまどろっこしいだけで面白くない。

 喬太郎師匠の会では必ずある我慢の時間が終わり、次は喬太郎師匠の登場。師匠が言うには、カマ手本というのは、決してトリネタではないのにもかかわらず、この会の名物プロデューサーがなぜかはまってしまい、ぜひやってくれという誘いにのってしまいに三日前から後悔しているという。この時点で、もう文七元結は今日聴けないのだという失望の念でテンションが下がりまくったわたし。(苦笑)

 まずはウォーミングアップでという事で始めた噺は「按摩の炬燵」。師匠が方々でかけているお馴染みなネタですが、私は初見でした。
 
 「按摩の炬燵」は、寒さに耐えられない店の奉公人が、出入りの按摩を炬燵代わりにして暖まろうというよく分からないストーリー。しかし、師匠の落語を聴いているとあながち嘘ではないんじゃないかと思えました。
 
 昔、奉公に行った先ではすべてがお仕着せで、冬寒いからといって布団を増やしたりは出来ない。奉公人は番頭から小僧に至るまで薄い布団で寒さをしのがなければならず、きっと皆で身を寄せ合って寝ていたんだろう。そうなれば、誰かが炬燵代わりになるという事もありえるのであります。それでは、誰が炬燵になるのかというところで「盲目の按摩」を持ってきたところがこの話の凄いところ。

 下手にやると弱者軽視に繋がる嫌な噺になる可能性があるこの噺を、師匠は奉公人達の悲哀と、そこに共感していく按摩の抱える悲哀の両方を丁寧に描く事によって、寒い冬に少しの温もりを感じる味わい深い一席にしていました。その中で、按摩の米市が、酒に酔うにつれて自分の境遇についての気概や少しの愚痴をこぼし始める流れが絶妙で良かったです。目が見えない目明きの為に付けていた提灯がいつの間にか消えていて、盲目だからそれに気付かなかったというエピソードがほろ苦い。そして、炬燵になった米市が自分に足をつけて寝ている小僧達の寝言を聞きながら「俺は奉公ってのはしたこたぁねぇが、皆こうやって偉くなっていくんだねぇ」としみじみ語る台詞も素敵だ。
 
 米市が酒によって一人語りをするシーンは、ずっと目を閉じたまま演じなくてはならずとても難しいと思う。息抜きがほしかったのか「眼を開けたら誰もいなかったりして」と言っていた。(笑)

 中トリは白酒師匠。忠臣蔵にちなんだ噺を頼まれたと言う事で「四段目」。上方では「蔵丁稚」であります。白酒師匠は全ての程が良い!決してダレさせない緩急が効いたリズムと心地よく響く声。全ての台詞がスコーンスコーンと心にはまっていくのが心地良い。師匠は、オタオタするキャラクターがすこぶる良いが、今回は芝居に行っていたことを黙っている定吉が、店の主人に詰め寄られオタオタする様が最高。「定吉に自由を与えろー!」

 仲入り後は、いよいよカマの話。今回はトリネタとして成立させるべく色々苦労していた。殿中松の大廊下のシーンでは巨大な松のかきわりを登場させるし、(主催者はこのシーンをやりたくてお願いしたらしい)雪は降らすし、鳴り物まで入れる懲りよう。さらに、四十七士が討ち入る理由が、浅野への「LOVE」故だと言う事になっていてさらに混迷を極めるつくりに(笑)吉良の首を取りにいくというより、浅野匠頭と心中する為の死に場所を吉良邸にしたのだという。さらに、そんな理由で死なせてなるものかと、吉良の家来が討ち入りが成功したように見せかけようと赤穂浪士になり変わってしまう。討ち入りが成功する為には吉良の首がいるので、あっさりと自分の主人の首を取ってしまう家来。(笑)吉良の台詞で「なぜわしが死なねばならんのじゃ。まったく分からん!」とうのがあるけども、私もまったく分からんでした(苦笑)
 
 主君が腹を切り、家来一同が集まってこのごの身の振り方を話し合うシーンでは「我々のアイデンティティが!」と若い家来が叫ぶ。(笑)その意味が分からない大石内蔵助がいちいち息子の力に意味を聞くところが可笑しかった。なんちゃって空蝉で、落語の人物が自分は落語中の虚構だと自覚している手法をやってみせた師匠がここでもやっているわけであります。

 浅野が吉良に言い寄る冒頭シーンで「浅野殿!そのような事を言っていて恥ずかしくないのか?!」と吉良が叱ると、「恥ずかしいよ。こんな落語」(笑)

 無理やりやりきった感があるカマ手本でした。今年最後の師匠の高座がカマか・・・(苦笑)師匠も落語中に「文七元結やりてーー!!」と叫んでいましたが、私も聴きたかった。

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