立川流 上野広小路寄席 夜席 子別れの進化をこっそり見た
何ヶ月も先の独演会に行けるかどうかの予定を立てられず、代わりにふらっと行けるものに行ってきました。
途中から
立川談奈 「崇徳院」
立川談幸 「家見舞い」
立川ぜん馬 「おばけ長屋」
仲入り
立川談修 「宮戸川」
立川らく里 「大安売り」
立川談笑 「子別れ 昭和編」
私が入った時には6割ぐらいの入りでしたが、仲入り後には満員に。談笑パワーですかね。
二階でロッカーに靴を仕舞っていた時、わりと声と口調が良い人の落語が聞こえてきました。あれ?立川流にこんな人いたっけ?と思ってみたら談奈さんでした。生で見るとそうでもなかったのは、口調と体の動きが合ってないからかなあ。次回に期待です。
談幸さんの家見舞いは、落語に出てくる奴みたいに「けっこうですね~。毎日食っても食い飽きないってやつ」15円もする甕を十銭に値切ろうとする時、「ものは相談だけどね?この言葉はこういうときに使う」という台詞が妙によかった。ふふふ。
ぜん馬さん・・・。声が出ずらくなってしまってまことにまことに残念!
談修さん。家元が三日の独演会で「家の弟子はしっかりしてるでしょ」と言って褒めていた確かな口調。「華は無いけどね。それも落語家人生です」とも言われていたっけ。まさにそんな高座。宮戸川の例の濡れ場をどう終わらせるのかなあと思っていたら「続きはwebで」(笑)
本当ならここは談慶さんの出番でしたが、昨日からぎっくり腰なんだそうで急遽らく里さんの登場。落語が終わって、時間合わせに「深川」という踊りを披露しようとしたのに、あそこの音響が言う事をきかず又次回。あそこの音響はが聴きたくないもの、見たくないものをやると拒否るんだね。(その誰かは不明)
いよいよ談笑さん。今日のまくらは私が最近アホか!って思ってた事をはっきり言ってくれて大拍手。それはアホウ首相の馬鹿な政策「エコポイント」っていうもの。CO2排出量を抑えたエコ家電を買った人にエコポイントなるオマケを付与してエコロジーを推進ししようって名目ですが、なんで高額な商品や、サイズがでかいテレビを買うほどポイントが高いんですかってんだ!でかいということはそれだけCO2を出すんですよ?結局消費者よ、金を出せ!高いものを買え!金を世の中にばら撒け!という経済政策であって、環境とはまったく関係のないものです。環境を本当に大事にしてるんだったら、テレビなんか買えないからCO2を排出しようのない私に一番ポイントをくれっての!!環境を金で買う世の中よ。談笑さんはさらに、高速道路が土日1000円でゴールデンウィークが劇混みだったときはだれもCO2の事を言わないことを指摘してました。やっぱりまずは金ですな。エセポイント、あるいはエゴポイントに改名すべし。
こういう政策を見ていると、日本政府が「黄金餅」に出て来る金山寺屋の金兵衛で、国民は餅に金を来るんで飲み込んで出そうとしない「西念」に見えてくる。政府は色んな手を使って腹の中の金を「出せ!出せ!出せ!」としようとしているけど、なかなか出そうとしない国民を、しまいにゃやいて殺して腹から出そうとするんじゃないか?!こんな二人を出さないようにするのが政府なのによ。
こんなまくらから、こんな理不尽な未来が来ることを微塵も想定していなかった頃のお話へ突入。
この子別れは、昭和30年代の終わりから40年代に時代を移し、高度経済成長に突き進んでいく頃、まさに建設業が花形産業だった頃のお話。バカ女に血道を上げて奥さんと子供を追い出してしまった過去を持つ建設会社の社長が、古くからの部下に誘われてある小学校の前を通る。ここで、もう結婚は懲りた、だけど子供のことは忘れたことはないという会話があった後、下校時間で学校から子供が沢山出て来る。「あ、あの元気な子、亀ちゃんじゃないっすか?」「うほー!うほー!」「あれは特殊学校の子だ!」(笑)私はこの談笑師特有の焦らし攻撃が大好きです。Mなのかね。
「うそーつきうそーつきうそーつき!!」「うそつきじゃないもん!」「お前の父ちゃんが東京タワー作るわけねーじゃん。だってお前んところとーちゃんいねーじゃん!」とクラスメートにいじめられてる亀ちゃんと出会うところなどは今年の一月で月例でネタおろしされたバージョンとおなじでしたが、後半だいぶ変更点が出てきました。まず、ここはたまたまやらなかっただけかもですが、二人でアイスを食べながらぽつぽつ話をするシーンで「父ちゃんは本当に東京タワーを作ったんだよね?」と訊くシーンは無かった。
まあ、そんなところは大したことじゃなくて、父ちゃんがもうバカ女(離婚した後の再婚相手)と別れたと聞いた亀ちゃんが、又一緒に暮らそうよ、母ちゃんも喜ぶよと無邪気に喜ぶのを「お前がそう思ってくれてるのは嬉しいが、母ちゃんは父ちゃんの事を恨んでんだ」と言い、事実おかあちゃんは、かめちゃんがお父ちゃんに会った事を喜ばない。「お父ちゃんも気まずい事してくれたね。なまじっか会わない方が良かったのにね。」母親からすれば、いや、自分を捨てた亭主のことをやっと忘れてせっかく二人で頑張って暮らしているところで波風を立ててほしくないのである、それでもお父ちゃんに会って幸せそうなかめちゃんに「亀から見て、父ちゃんは良い人だったかい?」と訊くと「好きな人」とけなげな台詞が切ないねぜー!父親との再会を喜ばない母親に「おかあちゃんは、お父ちゃんに会いたくないの?」と訊くと「会いたく・・・は無いよ。お前にこんなことを言っても仕方ないけど、おかあちゃんは捨てられたんだよ?他の女の人と比べて、そっちの方が良いって言われちゃったんだよ」 そうです。そーなんです!!そういうことですよ!!ものすごく傷ついてるんですよ女として!! そんな酷い台詞をぶつけられたのにまだ旦那を想ってるっていう古典の設定は、男にとても都合の良い形だったんですが、談笑さんはちゃんと女性側の心情を言ってくれたところが良い!!ここが一番グッと来た!!
それでも、500円を貰って(亀ちゃんは母親にこの金は何だと詰問され「岩倉具視のプロマイドと答えていた」(笑))鰻までご馳走になるのだから母親としてお礼を言う為に亀ちゃんと一緒に鰻屋へ行くことにする。父親の会社の慰労会を鰻屋でやっているはずなのだが、鰻屋の座敷には何故か父親しか来ない。「あれ?父ちゃんの家来達は?まあいいや、父ちゃんに良い知らせと悪い知らせがあります。」(笑)悪い知らせとは、母親に全部喋っちゃったこと。そして良い知らせは「今下に妙にめかしこんだ女が来てますぜ」(笑)
いよいよ、夫婦の再会であります。捨てた男と捨てられた女の再会だもの、気まずい空気の中男の方が深々と頭を下げ「お前達には辛い思いをさせた。許してくれとはいわねぇ。頭だけ下げさせてくれ。すまねぇ。」 しかし、いくら頭を下げられても許す気にはとてもなれないので「私はじゃあこれで失礼します。亀は鰻をご馳走になってからゆっくり帰っておいで」とその場を立ち去ろうとする母親に亀ちゃんは「え?お母ちゃん帰っちゃうの?帰らないで!!かえらないでぇ!!!かえらないでぇ!」悲痛な声で号泣するシーンに思わず胸が熱くなる。あまりの号泣に席を立てない母親は、号泣しながら自分の腕にしがみつく子供を見ながら「子供は可愛いけど・・・このわだかまりは消えませんよ!?」そうだそうだ!どうするどうする?「どうだろう、もう一度やり直しちゃくれねぇか。」その申し出に「亀もせっかく学校に慣れたところなのに」「だったら、俺がそっちに行くよ。すぐにとはいわねぇ、同じ部屋がいやなら近所のアパートでも・・。すこしづつやっていってくれれば」この台詞に多分、離婚前とは違う姿を見たのだろう、女はこっくりとうなずいたのでした。ふー。
なんとか話がまとまると、どこからともなく社員達がわらわらと登場。(笑)なんと、実はこの再会劇は全て亀ちゃんが書いた筋書きだったのです。東京中を父親を捜して経巡っていた亀ちゃんは、サンシャイン60の工事現場でとうとう父親を見つけたのでした。そこで亀ちゃんと父親の部下が再会して、二人で共謀して今日の展開になったのでした。「いやー、(500円札が)見つかるようにランドセルを投げるのに苦労したよ。」(笑)そこも全部仕込だったのか(笑)
「かめちゃんは面白いんですよー。父親はウルトラマンで、夜な夜な大きくなって東京タワーを作ってるって。でもウルトラマンは3分で元に戻っちゃうだろって訊くと、だから80回ぐらい大きくなったり小さくなったりしてやってるとか言って。な?お父ちゃんはウルトラマンなんだよな?」
「ううん、ウルトラマンじゃないよ。帰って来たウルトラマン」(笑)
さげは「お父ちゃんは空飛ぶんだぜ」
「へー、父ちゃんは空飛ぶんだ?」
「うん!だって、父ちゃんは飛び(鳶)だもん!」
この、とびだもん!と言う時の談笑さんの表情が本当に子供が「どうだい!」と得意そうにする時の顔だったのがとても素敵でした。お父ちゃんのことが本当に好きなんだね。子供は親がどんなんでも好きなんだねという話でした。嗚呼、この親子に幸あれ!
思いがけず子別れの更なる進化を目撃出来てよかった良かった。
| 固定リンク
「その他落語(独演会以外関東)」カテゴリの記事
- 三田落語会 桃月庵白酒・春風亭一之輔二人会(2009.10.25)
- たから寄席 (2009.10.25)
- 下丸子らくご倶楽部 10月 落語会200回記念(2009.10.25)
- 談志の会 改め 市馬・談春・ゲスト鶴瓶の会(2009.10.25)
- 鈴本演芸場 10月上席(2009.10.25)



コメント
ああああ…仕事で一杯いっぱいで行けませんでした…私のバカバカ。でもこれを読んでだいぶ判った気になっちゃいました…ああ、これを早く観たいのだ。バツイチの私としては今回の「別れた奥さんの感情のリアルさ」に今回焦点を当てた談笑師の演出に物凄く衝撃を受けました(って、実際には観てないのに) 凄いな談笑師! ていうか観なかった私のバカバカ!
KAZ さま
聴きながら、「キターーー!!」って思いました。(笑)でも、KAZさんは酒に酔ってバカ女とくっついたわけじゃないですよね?(笑)
投稿: kaz | 2009年5月19日 (火) 00時28分
>酒に酔ってバカ女とくっついたわけじゃ
…ないですよ!ってレスしないでそのままにしておくと「そこは何も言えねぇ」って思ってるみたいになっちゃうじゃないですか。(笑)
談笑師匠にはぜひこれを次回月例で演ってほしいなぁ。
投稿: kaz | 2009年5月21日 (木) 02時03分