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寄席井心亭 百六十八夜  立川志らく 作成中

 

昨日は久々に三鷹の井心亭にお邪魔しました。キョンキョンを見に行ったとき、座椅子もない和室にぎゅうぎゅう詰められ、そこで弟弟子の○之助のひどい落語みたいなものをえんえん聴かされたのがトラウマになり足が遠のいていました。

 開口一番  立川らく兵 「十徳」

         立川志らべ 「粗忽長屋」

         立川志らく  「目薬~義眼」

         中入り

         立川志らく  「たちきり」
 
         質問コーナー  

 まずはらく兵さん。先日の下丸子の前座バトルで実は敗れていたという衝撃の事実を聞かされていたのでことのほか応援。正直、下丸子のお客さんの審美眼は狂ってる。どう考えても勝者はらく兵さんだったのに。

 今回出てくる八五郎は、おそらく知ったかぶりをして失敗を続けた結果、すっかり周りの連中に馬鹿にされているという感じだったのがもうそれだけで可笑しかった。そりゃ、鶴だの青菜だの天災だの、あの男は知ったかぶりしまくりですから。(笑)

 最近らく兵さんがつとに面白くなっているのは、台詞の間と顔の表情がマッチして独特のフラが出来ているからですね。しかもちゃんとキャラの書き分けも出来てるし。後、毎回高座にあがる時それなりの工夫をしようとしている姿勢が素晴らしい。

 続いては、この人も最近面白くなってきた志らべさん。今回も面白いことをいろいろ考えていて面白かったけれど、落語自体が間延びしちゃってもったいない。少しオーバーアクション気味だからかな?ギャグが生きるも死ぬも土台しだいなんですね。この前の志らくのピンでも師匠がじきじきに指摘してましたね。

 今回の志らく師匠も、日本人はすぐ集団ヒステリーになってすぐ忘れちゃうという話から、もう順番は忘れちゃいましたが、グラン・トリノは江戸っ子のクリントイーストウッドがアジア系のおとなしい男の子をいっぱしの男に育て上げる話、それはたとえるなら五代目小さんが、花録のふや~とっした弟子を一人前の真打に育てる(笑)ようなもんだというあまりに的確すぎるたとえ話や、鳩山党首が小沢一郎の影響を受けないはずはない、なぜなら、もし志らくが立川流を継いだとしても、談志が生きててなんか言ったらそれに従うに決まってる、それは志の輔兄さんだって、あのやくざのような談春兄さんだって同じ(笑)。談志独演会に志らくや志の輔が見に行ったら、ずっとそでで師匠の落語を聴いているのに、談春兄さんは師匠が舞台に上がるときだけ目立つ所に立ってぺこぺこ挨拶したら、すぐ楽屋に戻っちゃって弟子に説教したりして遊んでる。(笑)「また権助提灯だろ?もう聞き飽きた」(笑)それでいて落語が終わった頃になるといつの間にかそでに戻ってて目立つところで挨拶をするらしい。(笑)なんて話から次は三遊亭円生が小さんに、自分の言うことを聞くと思って落語協会を譲ったら全然言うことを聞かなくなっちゃって、怒った円生が談志や志ん朝などの人気者落語家を引き連れて協会を飛び出した分裂騒動を、登場人物の物まね入りで細かく説明。(笑)もう盛りだくさん。

 こんなに話した後に、極め付けが師匠がなべおさみさんの誕生日ケーキを買いに行ったら与太郎に出会ったという、「ケーキ屋与太郎」の一席。これが面白いの面白くないのって。面白いんです。志らくのピンで聞いたときの衝撃が忘れられず話す前から笑っちゃったら「笑わないでください。おなじみさんは知ってるでしょうが」と師匠に注意されちゃった。これはね、師匠のネタだから中身は話しません。聞いて笑ってください。ヘェ!

 てんこ盛りのまくらから落語は「目薬~義眼」。元は二つの落語を続きものに師匠が作り変えました。字が読めないばっかりに、目薬を女房の尻の上に乗っけるという究極にばかばかしい話と、くりぬいた目を飲み込んじゃったら尻の穴に詰まって、その穴を覗いたら尻の中からも誰かが見てたという、これまたどうにもならない馬鹿話を、師匠は本当に面白く語ってくれます。最近の師匠の落語の表現はとても立体的なんですね。だから分かりやすくて脳にストレートにおかしみが伝わるというか。本当に落語が深くなりました。主人公の目がどうしても良くならず、三丁目のよろず医院に行ってみると、医者が山で見つけたという毛むくじゃらの大女が「ウホウホ」してる。(笑)前はもっと頭が良かったのに、歯が悪くなったから歯を抜いたら脳の神経まで取れちゃってウホウホになったんだって(笑)

 二席目はなんとたちきり。まだこだわりますね(笑)

 師匠のたちきりは、話の持つ決定的な矛盾と、その矛盾に気付かずどうだとばかりにやっている他の落語家たちへの(米朝師ぐらい上手ければ別)アンチテーゼというべき一席。最初の師匠のバージョンでは、そんだけ好きならなぜ蔵に入る前に手紙を渡さないんだ!ということで、若旦那を蔵から抜け出させ手紙を渡しに行かせますが、手紙を預けた人が不慮の事故だかで死んじゃって手紙はこひさに渡らず、結局捨てられたと勘違いしたこひさは死んじゃうという型でした。

 でもそれだとまだこひさがずっと待って疑うことしかしなかったという間抜けさを解消できないし、全体的にこれは落語じゃないと師匠が自ら反省していました。確かに、結局人情話になっているし、聴いていると「こうするべきなんだ!」という師匠の主張が先に来て、物語を聴くというより、演説を拝聴している気分になっていたので、どうするのかなと、気になってはいました。

 最新バージョンでは若旦那は乞食になるのは嫌だからしぶしぶ蔵に入り手紙は渡さない。だからこひさも従来どおり死んでしまうが、蔵住まいが済んで急いでこひさに会いに行くとなぜかこひさはそこにいる。そして、何で来てくれなかったの?なんで?と、あの日から死んでしまうまでの顛末をこひさが自ら語り、来れなかった理由を知ると

「ああ、ずっと信じて待たなかった私が馬鹿だった。私、死んじゃった」

 芸者ゆえに恋人の言葉を信じきれず死んでしまった自分の愚かさに気付くのです。若旦那のほうは、手紙を握りつぶした番頭に怒りをぶつけようとしますが「それはだめ!番頭さんは悪くない。悪いのは私たち二人。」


 

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