柳亭市馬 柳家喬太郎 二人会 湯島天神 こういうのを良い二人会という 完成!!
昨日は、湯島天神で良い二人会を見ました。 二人会はかくありたい。
開口一番 柳亭市也 「子ほめ」
柳亭市馬 「藪医者」
柳家喬太郎 「吉田御殿」← 「定本艶笑落語」に収録
中入り
柳家喬太郎 「転失気」
柳亭市馬 「不動坊」
市也くんは、会話の区切りがおかしい。どんな会話も同じタイミングで息継ぎしてどうすんだ。
市馬師匠のまくらは、喬太郎師と一昨日大阪で二人会をしたという話から、角座に出演する小さんのお供で昔大阪へ行った思い出を語る。当時角座のトリは落語家じゃなくて宮川左近ショーとかかしまし娘がはってて、小さん師匠は五月蝿い大阪の客に対しては受けてもうけなくても関係ないような感じ。市馬師匠は、あの宮川左近ショウと共演している小さんが羨ましかったそうです。(笑)
いろいろ話してくれた中では、昔、小さん(もちろん先代)の襲名披露興行で文楽師匠らと京都に行った時、京都の寄席の席亭に「何ぼ襲名披露で小さんが大きな名前でも、こんな若い人にトリは取らせられないから文楽師匠がトリを取ってください。」といわれたというエピソードが興味深かったです。全員とても悔しがったが、「こんなへんなところへは二度と出ないから、今回だけは我慢してくれ」と文楽師匠に言われたときは、小さん師匠は男泣きに泣いたんだそうで。そんなこともあったんですねぇ。
30分近くお話に費やしたので落語は軽く「藪医者」。寄席にトンと行かなくなった私には初めてでしたが、柳家の人はよく寄席で掛けてるそうですな。なんでも真実を喋っちゃう田舎もんの権助は、今回は近所でヤブと評判の医者の家で奉公をぶってる。ご主人の医者に対してあくまで大らかに「お前様はヤブだから」とグサグサ本当のことを言いまくり。(笑)市馬師匠が、何の作為もない風で強烈な皮肉を言い放つ様は本当に面白い。ああ、理想の権助だなあと笑いながらも惚れ惚れしちゃう。
ヤブの評判のせいでまったく客が寄り付かないもんだから、医者と権助で一芝居打って周りに実は名医だということをアピールすることに。「あれ?芝居打つか?ほんだらおらはあまっこ形でも」 「やんなくていいよ、権助芝居じゃないんだから。」(笑)と軽くアドリブをはさみつつ、わざわざ名医を尋ねてくる人の役が権助で、医者への取次ぎの門番役をヤブ医者がやって芝居の始まり始まり~。「お~頼みも~しますでの~!!」と権助が叫んだまではいいけれど、細かい打ち合わせはぜんぜんやってないから「どちらから参られた?」と聞かれて「裏の台所から」と答えちゃうし、名医と言わなきゃいけないのに「こちらにヤブで有名な方がいらっしゃる」って言っちゃうというたわいもない滑稽話でした。
それなのに、市馬師匠の美声で「お~頼みも~しますでの~!」を聴いているとなんとも風格のある楽しいい一級品になっちゃうのだから落語は本当に不思議であります。市馬師匠が落語家で本当に良かった。
続きましては喬太郎師匠。市馬師匠との二人会のあとは、青森で白鳥師との二人会だったというまくら。青森から池袋の自宅までほぼずっと同じ経路で帰るのに、青森から八戸に出る電車ですでに「喬太郎さん、お疲れ様!」って言われて全部違う車両で帰ってきたという話がおかしい。白鳥らしすぎる。おお、そういえば今頭から離れない歌として太田裕美の「失恋魔術師」なる唄を絶唱。相手が市馬師匠なら遠慮することはないですもんね。(笑)
落語はと申しますと、聴いたことがないのできっとネタおろしだと思うんですがとんでもない話でした。(笑)(調べたら、その白鳥師との二人会でやってんだこれ。通りで口慣れてると思ったよ。)
とある田舎(馬の田楽の舞台みたいな)の峠の茶屋に、一人の若侍が休憩にやってくる。汗まみれの若侍に、店の主人は親切に襦袢を洗ってあげ、その間侍は店の下の川原で小用を足していた。すると店の主人がなぜか恐れうろたえた様子で現れ、さっきまでゆっくりしていけと言っていたのに急いで店を発ったほうが言いという。へんだなとは思ったけれど言われるままに店を後にした侍に、どこからか大名屋敷の女中らしき女が駆け寄ってきて「屋敷の主人が江戸の噺を聞きたがっているから、急ぎでなければ屋敷にいらしてください」という。急ぐ旅ではない若侍、何の疑いもなくその誘いに乗ってしまうが、その様子を見ていた主人の態度はなぜか尋常ではなく何か恐怖におののいているのだった・・・・。
案内された屋敷は山の中にあり、淀という名のそれは美しい女主人が家来とともに暮らしていた。元は江戸に住んでいたらしいが故あってここで隠居暮らしをしているのだという。その主人はなぜか若侍(新之助)にとても親切で、ぜひ二三日逗留して江戸の噂を聞かせてくれと下にもおかない待遇。風呂を借りて出てくるとすでにお膳の支度が整えられていてしかも主人と客の膳が並んですえてある。それはまるで夫婦のようである。
何も分からない新之助は主人に勧められるまま酒を飲み話をし、女の方もいろいろ話しかけ宴は長く続いた。空は満月だったが山の中ゆえ天気が変わりにわかにかき曇り雷が近くに落ちた。雷に驚いた女は新之助にしがみつき、男も女を抱きとめる。緋縮緬の襦袢から白い足が艶かしく、鬢の油の匂いが男の鼻をくすぐった。雷はいつか遠くに行ったが女はまだ男を放さない。体をわざとくの字に曲げると襟から色っぽい鎖骨が現れ、男の手を自分の胸元へねじ込み白いふくらみに触れさせた。男もここまでされてしまうと抵抗する術はなく、二人はくんずほぐれず・・・・・三日三晩(笑)
三日目の夜、さすがに疲れ果てた新之助は夜中に目を覚ました。起きている時はずっと絡み合ったまま、寝るときはいつも二人同時だったが、やっと自分だけ起きる事が出来たのだった。外の空気が吸いたいと部屋を抜け出し、屋敷の火の見櫓へ昇ってみるとそこからは、先日立ち寄った茶屋が見えた。精も根も尽き果てた新之助、「今はあのおやじに会いたい」(笑)。櫓には遠めがねが置いてあり、それで茶屋のほうを覗いてみると、いつぞや小用を足した川原が見えた。そう、女はここから”男の一物”を見て新之助を誘惑することに決めたのだ。というか、あの川原で小便をした男はすべて女に見られており、必ずや屋敷に連れ込まれてしまう運命なのだった。だから茶屋の親父の行動が不審だったのですな。
程なくして新之助は探しに来た女に捕まりまたくんずほぐれずの毎日。それほどに新之助の一物はすばらしかったのだ。どう良いかと言うと、まず大きくて、形よし色よし○わいもよしらしい。え?もしかしてこれって艶笑噺ってやつ?(笑)ここまで聴いてやっと気が付きました。キョンキョンは、あくまで圓朝ものを語るような口調で語ってるもんだから、また聴いたことがない圓朝噺を掘り出してきたのかと思って聴いてしまいました。しかしさすがに一物についての細かい描写にいたって、客の大多数が面白いように引いていくのが分かりました。(笑)でもキョンキョンは客がドン引きしていてもまったく口調を変えることなく堂々とエロ噺を続けます。そう、エロい噺こそ堂々と!!
しかし良いときは長く続かないもんで、とうとう新之助は淀のお腹の上でお果てなされてしまった。(笑)これまでも、もう何人もの男が女の上で死に、そしてその死体は屋敷の庭に家来の手ですぐに始末され、すぐに次の獲物を探すことになるのだが、新之助が死んだときばかりは淀はいつまでも泣き崩れ死体のそばを離れようとしない。それほどに新之助の一物はすばらしかったのだった。(もういいってw)その様子を見た屋敷の家老も、新之助の一物には感心し、何を思ったかそれを切り取って塩漬けにして保管することにした。
35日法要の日になっても、相変わらず淀は仏壇の前で「新さま!新さま~!!」と泣きはらしていた。その姿を哀れに思った家老は、塩漬けにした新之助の一物を仏壇に供え
「姫様、あれをご覧ください。」
「よいのじゃ、ほっておいて置いてくれ爺・・・・うぉおおおおおおおお!!!」
忘れようにも忘れられない新之助の一物を見た淀は、一物と位牌を胸に抱きしめさらに号泣(笑)あんまりリアルに想像しちゃいけません(笑)
するとなんと、仏壇の前に煙が立ち新之助の幽霊が現れた。「新さま!!」
「まさかあのようなことで死ぬとは思っておりませんでしたが、(笑)手厚く供養していただきかたじけない」
よく見ると、幽霊の上半身は見えるが、下半身が消えて見えないので
「新様~!!どうして全身を見せてくれないのですか?!どうか全身をお見せください!」
「それは無理です。下半身はあなたが抱いているから」
終
なんという噺!!キョンキョンが丹念に語るから、まるで泉鏡花の幻想小説か何か聴いてる気分で聴いてたら、まるで「三年目」みたいな落ち!!すばらしい!すっかり騙されてしまいました。いいぞキョンキョン!!もっと騙して~!!(笑)
興奮が覚めやらぬ中、後半戦はキョンキョンから。以前聴いたときはまだまだおとなしかった転失気が、だいぶパワーアップされて帰ってきました。転失気を知らないのに知ったかぶりをする織田無道のような住職と、まったく今風で憎たらしい小僧とのやり取りが最高に面白い。最初に聴いた時、次に聴くときはキョンキョンなら絶対ここまでハイテンションにするに違いないと信じていたので、想像通りになってうれしい。久しぶりに眉毛が釣りあがった狂ったキョンキョンが見れてなお嬉しい。「カーーーッツ!!和尚を騙してわるいとおもわないのか!!」「へ(屁)とも思いません」がさげでした。
トリは市馬師匠の「不動坊」。市馬師匠にかかればとっても面白いのですが、そもそもこの噺、ストーリーがちゃんとしているせいで面白くない。ストーリーなんかない強情灸みたいな噺のほうが演者の特徴が良く出て飽きずに楽しめるけど、さげまでしっかり決まってる話はやっぱり飽きてくるのだなあ。この噺で演者の違いが楽しめる場面は、お滝さんが嫁に来る晩に湯屋でのろける吉っつあんが「おじさん、やっぱりおじさんも新婚の日は、鉄瓶持って湯に行きましたか?」と聴くところでしょうか。もちろん市馬師匠で聴くともう大笑いです。
キョンキョンのエグ味を市馬師匠が上手く和らげるという、二人の個性が見事にマッチした二人会でした。二人会はかくありたい!!
吉田御殿は、意外と評判が悪かった。しかも男性陣に。どうしてあっはっはと笑えないんでしょうか?家元が言ってました「いやらしいと言う方が、リアルに想像しているからいやらしい」(笑)
キョンキョンは、共演者によって態度がぜんぜん違う。だから談春師との二人会では盛り上がらない。それってどうなんですかねえ。
※ 江戸から明治の頃には「千姫の吉田御殿伝説」のような、千姫(あるいは淀)は大変な好色だったという言い伝えが庶民の間に浸透していたからこういう落語が出来たのでありましょう。彼女らの名誉のために申しておきますと、それは史実とは違うそうです。
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コメント
頑張ってまた書いてください!
待ってます!!!!
投稿: kaz | 2009年6月24日 (水) 00時29分
おお!!鉄板の歌謡ショー・・・・イヤイヤ・・・・二人会
この二人の組み合わせは最高ですよね。詳細と感想、期待してます。
投稿: 車人形 | 2009年6月25日 (木) 22時45分
吉田御殿、どんどん妖しくなっていくので最後はどうしめるんだろうかとハラハラしました.
こういう艶話は観客が大人だけの会だからできるんでしょうね.
そういう会に私は行きたい.
投稿: hiko69 | 2009年7月 8日 (水) 18時10分
熱い声援ありがとうございます!!
やっと全貌を書く事が出来ました。とはいえ、細かいくすぐりは忘れてしまいましたが。さらに細かい記述はいつか「この落語家を聴け!」の著者が明らかにしてくれるでしょう。
投稿: comomaru | 2009年7月11日 (土) 00時19分
大作アップありがとうございます。雰囲気が伝わってきました。喬太郎師匠は、市馬師匠と二人会だと責任感から解放されていいですよね。
転失気のさげも、先日の聖蹟桜ヶ丘の花火寄席から進化した様で、常に工夫を怠らない姿勢は凄いです。
「この落語家を聴け!」の人、せめ達磨にもいらしてました。
投稿: 車人形 | 2009年7月12日 (日) 11時52分