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「ハゲタカ」を見た  金が無いのは首が無いのに劣るのか

 ハゲタカを見てきました。

 NHKのドラマでやってた頃から、経済金融ドラマでこんなに熱くなったことは無い!というぐらいがっちり見てました。間抜けなドラマにありがちがオーバーな表現が無く、お金にまつわる人間の悲劇をじっくり描いていて見ごたえがあったし、大人になって社会の経済構造に自分が組み込まれていることを自覚していたのでさらに面白かったのだと思います。

 そして今回、この金融のうねりをもろに受け無職になってしまった私にとってこの映画は見なくちゃならないものとなったのです。以下は、ネタばればれですのでご了承くださいますよう。

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 今回は、金融危機のせいで元気が無くなった日本の自動車メーカー「AKAMA」の高い技術力の買い叩きを狙う中国のファンドを相手に、このドラマの 主人公、金の悲劇を背負た天才ファンドマネージャー鷲津政彦がどう活躍するかというストーリーを軸に、日本を代表するメーカーの経営実態や派遣などの雇用 問題、世界征服を狙う巨大マネーの存在やその恩恵にまったくあずかれないばかりかあおりばっかり受ける圧倒的な貧困という、「金が無い悲劇・金がある悲 劇」を描いています。2時間以上ずっと銭銭人銭銭銭人人人銭銭銭銭銭人でした。見た後は、こんな世の中だけど頑張ろう!!と思う人もいるみたいですが、私 なんぞは財布を誰かにあげちゃってどっかに姿をくらませたくなってしまいました。だから駄目なんじゃん俺。

 ドラマでは、アメリカのハゲタカである鷲津が、実は昔は日本の銀行の一行員で上司の命令で行ったたった200万円の貸しはがしで人を殺してしまっ たという過去があったというところがポイントでしたが、映画では、中国ファンドのファンドマネージャーとして日本に乗り込んできた中国残留孤児三世「劉一 華」なる男の人生が面白かったです。

 彼は湖南省の貧しい農民の出で、金の大事さも、金が無い惨めさも身に滲みて分かっている。金が無い悔しさをばねに金融の第一線に躍り出てさらに上 を目指そうとギラギラして「俺はここまで来た」と自信たっぷりでいるが、そんな彼とて所詮は巨大なマネー組織の使い走りに過ぎなかったということが最後に は分かってきます。さらに、彼は実は「劉一華」ですらなかったという事が分かってきて面白くなっていきます。彼はものすごく貧しい家の生まれで、母親が自 分の血を売って作った金で戸籍を改ざんし、残留孤児三世劉一華に成りすまし日本へ来日してからアメリカに渡りそこで鷲津に出会います。がんがん会社を買収 し活躍していた鷲津に憧れ、鷲津を超えることを目標に今まで生き抜いてきたということまでは映画で明らかにされるのですが、結局彼が誰だったのかというこ とは分からないで終わってしまいます。ある日、おそらく会社をリストラにあったであろう追いはぎに襲われて死んでしまうので。彼は誰だったのでしょうか? 名を捨ててすべてを犠牲にして大金を稼ぐ男になったのに、財布のわずかなお金を狙われてあっけなく死んでしまった彼はなんだったんでしょうか?映画の中に出てくる、車の部品と同じルートで調達されてくる人間扱いされてない派遣社員と、名も無き者ということでは実は内実はあまり変わらないのだと感じて虚しくなるばかりでした。

 落語「三方一両損」にある、金の存在を良しとしない、厄介なものだと遠ざけようとする精神が一番健全なんだと改めて感じたのでございます。わざわざ一両出して裁きを楽しんでる大岡越前が一番粋なのであります。

  金があれば何でも出来る。金があるばっかりに手に入らないものがある。映画の主題歌に使われているエミリー・ブロンテの詩がすばらしいので紹介しておきます。

               「富は問題にならぬ」

 富なんてものは問題にもならない 恋だって、考えただけで吹き出したくなる。

 なるほど、名誉欲か?そういえば、昔夢見たこともあったが、

 日が射すと忽ち消える朝霧みたいなものだった。

 もし私が祈るとすれば、自然に

 口をついて出る祈りはたった一つの祈りだ。

 「今の私の心をこのままそっとしておいてくれ、そして、ただ自由を私に与えてくれ」

 という祈りだ。

 嘘ではない。光陰矢のごとしで、どうやら私の終わりも近い、そこで私が求めるものは

 ただ

 何者にもとらわれない一人の人間として、勇気を持って

 生に堪え、死に堪えてゆく、ということだけだ!」

                       

訳詩:平井正穂 岩波文庫 「イギリス名詩選」より

 

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コメント

バブル以後、何かが変わってしまったような気がします。人の心がばらばらになり、離婚どころか肉親が殺し合い、人が人を信じられない世の中、これを仏教で言うところの「末世」あるいは「末法」なのでしょうか?
こうやって人間が仲間割れしているうちに、大地は海の仲に沈んで行くのかもしれません。

全てが終わったとき、人類は自分自身の愚かさに気づくのでしょうが、それでは遅すぎるのです。でも、そんなものかもしれませんね。


 コメントありがとうございます!!
 映画では、「こんな時代だからこそ、夢や希望を語るリーダーが必要なんです!!」と柴田恭兵だけが叫んでいて、後の登場人物はみんな最後まで顔に笑顔が浮かぶことはなかったです。
ほどほどのお金を上手に貯めて上手に使うという難しい勉強を人類はしなきゃいけない。文明って面倒ごとしか運んでこない悪魔の仕業ですね。

投稿: ライオネル・貧乏 | 2009年6月15日 (月) 14時14分

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